イヤホン型ガジェット:ウェアラブル2014まとめ(その3)

2014年度のウェアラブル・ガジェットのまとめ第3回として、スマート・イヤホン、或いはヘッドセットも含めたイヤホン型ガジェットについて考えます。

まずは2014年度のイヤホン型ガジェットについてまとめます。続いてイヤホン型ガジェットのコンセプトを提案し、また生体センサについても考察します。

はじめに

前々回、前回と、それぞれメガネ型、時計型のガジェットをまとめ、またその形を提案してきました。
しかし、私が思うにウェアラブルの本命はイヤホン型です!

その根拠は、視覚情報とは異なり、聞き流しが可能なこと。カクテルパーティー効果。

まずは今年度発表された製品のまとめからです。

2014年のイヤホン型ガジェットまとめ

京セラさんのコンセプト展示と、The Dash、Hush、そしてソニーのSmart B-Trainerをご紹介いたします。

京セラのコンセプト展示

CEATEC JAPAN 2014にて、時計型ガジェット?のコンセプト展示をしていた京セラさんのブースには、こんなコンセプト展示もありました。

イヤーマウント型ウェアラブル端末

「イヤーマウント型ウェアラブル端末」とのことですが、サックスやアクセサリとともに、高級そうに展示されていました。

詳細は不明です。(あくまでもコンセプト展示。)

The Dash

The Dashは高機能なワイヤレス・イヤホンです。

2014年3月にkickstarterにて資金調達を達成し、現在(2015年2月)は先行販売を受け付けているようです。(Bragi社:http://www.bragi.com/

センサとしては、以下を搭載しています。

光学センサ(心拍、酸素飽和度)、体温、骨伝導マイク、マイク、加速度センサ、タッチパネル

用途としては、音楽プレーヤー、活動量の計測とトラッキング、骨伝導マイクとマイクを合わせた、音声でのライフログが提案されています。

Bluetoothでスマホとも連動するようですが、スマホアプリの詳細は不明です。

Hush

Hushは、音環境に注目したユニークな製品です。「高性能耳栓」と言った感じの。

こちらもKickstarterにて、2014年12月に資金調達目標額を達成しました。(ページ:https://hush.technology

単なる「耳栓」でなく、ホワイトノイズや波の音などの音を発し、眠りに落ちやすくしてくれるようです。

スマホのアプリで、起床アラームや着信等のお知らせをさせることもできます。充電可能なケースのアイデアも良いですね。

森林、雨、波のような音に含まれるホワイトノイズは、「落ち着く」と言われています。

昔テレビであった「裏ワザ」に、「泣いている乳幼児にテレビの砂嵐を見せると泣き止む」というのがありました。砂嵐の「ザー」という音もホワイトノイズです。(デジタル化によって「砂嵐」も死語の世界。)

お母さんの体内で聞く血流などの音はホワイトノイズ様で、その潜在的な記憶として落ち着くのだと、真偽不明のもっともらしい説を、何処かで聞いた覚えがあります。

そういえば「1/fゆらぎ」なんてのもありました。wikipediaによると、こちらは「ピンクノイズ」と言われているそうです。ピンクノイズもHushの音源に入っています。

Smart B-Trainer

2015年2月12日に、ソニーから発売されたばかりのガジェットです。(ページ:http://www.sony.jp/b-trainer/

いわばジョギング愛好家向けウォークマンです。

心拍数を計測し、ダイエッターの脂肪燃焼から本格的スポーツマンの無酸素運動まで、目的に応じてトレーニング中の心拍数が適切になるようサポートしてくれます。

その方法が「音楽のリズム」で、それに合わせて走るというところが面白いです。

Hashと同様、ターゲットがはっきりした製品には好感が持てます。

イヤホン型ガジェット提案

さて、ここでイヤホン型ガジェットを提案したいと思います。

ターゲット

メガネ型ガジェットまとめ」の稿で書きましましたが、私は、ウェアラブル・ガジェットのターゲットは「立ち仕事で多量の情報を必要としている人」だと思っています。

その中でも、必要な情報が視覚情報でなくとも音声情報で十分な人、或いはメガネを付けたくない人が、イヤホン型ガジェットのターゲットになります。

具体的には先の稿で挙げました、主婦や、農業・漁業・醸造業の人、理容師・美容師などの潜在層になります。(ラジオ・ユーザー狙い。)

コンセプト

キャッチコピーは「パーソナル・ラジオ」若しくは「スマートDJ」。

具体的なコンセプトは以下になります。

  • 音声合成で情報を提供する。
  • BGMプレーヤー。
  • 人工知能で日増しに賢く。

それぞれの項目を見てみましょう。

情報の提供

これはそのまんまSiriの音声版ですかね。

天気予報、ニュース、交通情報、位置情報からの情報検索(Google Mapくらい)、音声ナビなど。

もちろん現状のウェアラブルで提供されている、メールやSNSの通知(読み上げ)もありです。TwitterがスマートDJにまとめ読みされたら面白いかもしれません。

情報の提示に対してユーザーは、「パス」、「後でまとめて」、「今詳細を」、のような意思表示が可能です。スマートDJはすぐさまそれに答えます。

BGMプレーヤー

情報がないとき、或いはユーザーのリクエストによって音楽プレーヤーになります。

購入した音楽データでも、月極のストリーミングでも構いませんが、選曲はスマートDJがします。

もちろんリクエストも可能です。アーティストやジャンルによるリクエスト、鼻歌リクエストも可能ですが、「ポップ、静かな、悲しい、うれしい」のような語による、雰囲気検索が中心になるでしょう。

リクエストに対して「あっている」「あってない」などのフィードバックを返してあげれば、学習が可能です。

「スマートDJ」なので、間奏の間に情報を入れることもしてくれるでしょう。(それが邪魔なら「静かに」を指定。)

BGMはインターネット・ラジオの番組かもしれません。(潜在ユーザーは、ラジオ・ユーザーですから。)しかし民放は広告収入による無料放送でしょうから、この場合は音声のオーバーレイは問題がありそうです。

またあくまでもBGMですので、外音を遮断するのではなく、マージする機能が必要です。

ガジェット越しに聞こえる音には、ガジェットによるDJの音声、ガジェットによるBGM、外音としての他の人の発声、その他の外音、の4つがあります。

これらの音の大きさが適切になるよう、リアルタイムでコントロールされることが望ましいです。

人工知能で日増しに賢く

前節にて「雰囲気検索」という人工知能のアプリケーションを示しました。

その他にも生活パターンとリクエストを学習して、ユーザーの欲しい時間にほしい情報を提供するようなアプリが考えられます。以下の様な。

  • 朝、ガジェットの装着時には、健康情報や今日の予定。
  • お出かけ前に天気、交通情報。
  • 電車の中ではニュース、英会話の教材、CDブックなど。
  • 食事時に、いつもと違う場所なら付近のグルメ情報。
  • 休日にはおでかけ情報。
  • チェックしている番組の時間や団欒等、決められた時間はOFF。
  • 勉強や仕事など集中したい時間は、お知らせOFF。歌のないBGM。

ユーザーのアクセスする情報により、好みも学習していきます。

ユーザーが知らない分野の情報の提供も考えられます。それによりユーザーの知識や世界も広がるでしょう。時にはとんでもない分野の情報も提供されます。(それをユーザーが好むかどうかも学習ですね。)

ユーザーインタフェイス

UIの出力はもちろん音声ですが、入力には幾つか考えられます。

単にYes、No、あるいは選択(2択から4択くらい)であれば、「ウェアラブル・ガジェット(CEATEC JAPAN 2013レポート)」にて書きました「噛み合わせセンサ」が良いと思います。

センサは骨伝導マイクになります。噛み合わせ以外にも舌打ちとか鼻歌のような微弱な音による入力も可能かもしれません。

言語入力であれば、骨伝導マイクによる音声入力が考えられます。しかしパブリック・スペースでのひとりごとは、恥ずかしく思えたり、またうるさく思われたりするでしょうから、その場合は、スマホのIME、あるいは前回の「腕時計型ガジェット」で提案しましたエアキーボードが良いと思います。

スマート・イヤホンは必要か?

イヤホン型ガジェットもスマートである必要はありません。スマホが処理を行えば、イヤホンはスピーカーとセンサで十分です。バッテリーも大きい物は積めませんし。

(「メガネ型ガジェットまとめ」、「腕時計型ガジェット」と同じ結論です。)

しかし将来、メガネや腕時計がスマホを取り込むことは考えられます。

もしそうなったら、一番処理能力と電力があるデバイスが処理を担当し、その他のデバイスは、あくまでもセンサとUIとして、バッテリー消費を少なくします。

或いは、スマホは更に能力が上がり、「ポケット・サーバー」になるのかもしれません。

イヤホンの生体センサ

以上、イヤホン型ガジェットを提案してきました。

次に、イヤホンに搭載する生体センサを考えてみます。(上に提案したガジェットには必須でありません。骨伝導マイクを除いて。)

耳の中にセンサを置くと何がみえるでしょうか?

体温と脈拍

ありがちなものとしては、赤外線による体温測定と、脈拍(脈波)測定があります。これらはThe Dashのスペックにも挙げられています。

腕時計型ガジェットにおいても「撓骨動脈での深部温の推計」のアイデアを挙げましたが、それよりも鼓膜付近の温度が、文字通りの深部温として適切なのは言うまでもありません。既存の技術ですし。

脈拍については、波長を増やせば酸素飽和度も測ることができます。また脈波形などから血圧を推定することも将来は可能になるでしょう。

骨伝導マイク

音声入力だけでなく、呼吸音も測定できないでしょうかね。

夜の間だけでも測れれば、呼吸が乱れずに眠れているかが分かりそうです。

またいびきの診断もできますし、酸素飽和度を組み合わせれば睡眠時無呼吸症候群の簡易スクリーニングにもなります。

これらは関係ない人には必要ないので、別の専用アプリで構いません。

ジャスト・アイデア

まだまだ研究が必要なジャスト・アイデアを書きたいと思います。

脳波とNIRS(光トポグラフィ)

普通の脳波やNIRSは、頭にセンサを付けます。髪の毛が邪魔なので、おでこにだけ付けたりもします。

耳の中は毛が少ないのでセンサが密着させやすそうです。しかもnecomimiのおでこのセンサのように目立ちません。

そして脳を下から見るのも面白いんじゃないかと。

画像検索で解剖図を見ると、外耳道の上側の骨は頭蓋骨より厚そうですが、ちょうど側頭葉を下から眺める位置になります。

左側頭葉といえば言語野です。(何割かは右に言語野がある人もいるようですが。)

どなたか研究して欲しい。

頚動脈

解剖図によると、外耳道から内耳方向下側の骨の向こうに内頚動脈があります。

また耳介の前に外頚動脈が走っているようです。(確かに指で触れると、脈がとれます。)

このあたりから、なにか測れないでしょうかね?

以上の研究が必要なアイデアは、プロトタイピングしたとしてもまだまだイヤホンサイズにはならないでしょう。

しかし有用性が見込めれば、将来に渡って不可能、とは言い切れません。

(半導体レーザーとMEMSミラーで、自動焦点ドップラーとか。)

センサの固定と駆動

センサは、イヤーウィスパーのような可塑性のフォームで押し付ければよいでしょう。

各センサによる計測とスマホへの伝送は、常に行う必要はありません。

一時間に一度スポットで測定、あるいは、運動時や睡眠時など、必要に応じて連続測定するくらいで構いません。

まとめ

以上2014年度のイヤホン型ガジェットをまとめました。

またイヤホン型ガジェットのコンセプトとして「スマートDJ」若しくは「パーソナル・ラジオ」を提案しました。「立ち仕事の人」「ラジオのユーザー」がターゲットです。

音声認識、音声合成の技術も進んでいます。スマートDJが話している途中にユーザーからアクションがあった場合、DJは話を中断してリアルタイムで反応しなければなりません。それに絡む処理が技術的課題でしょうか。

あと「耳垢」も課題ですね。^^;

パーソナル・アシスタントとしての人工知能については、個人情報や機密に対する配慮も必要です。これについては、またいつか考えてみたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です