メガネ型ガジェットまとめ:2014ウェアラブルまとめ(その1)

メガネ型ガジェット(スマート・グラスとメガネ型ディスプレイ)について、2014年度のまとめとして、CEATEC 2014、ITpro EXPO 2014、その他の展示会やニュースから、製品或いは開発中のメガネ型ガジェットを紹介します。

そしてウェアラブル・デバイスのターゲットについて考察します。

メガネ型ガジェットのターゲットは誰でしょうか?

はじめに

昨年10月にCEATEC JAPAN 2014に行きました。

思うところはあったのですが、ブログに書けずにこの時期になりました。

本シリーズでは、CEATEC 2014、ITpro EXPO 2014、その他の展示会やニュースでのトピックスをまとめて書きたいと思います。

まずはメガネ型ガジェット(スマート・グラスとメガネ型ディスプレイ)から。

各社まとめ

最初に各社の製品(開発中含む)をまとめて示します。

名称(会社) ディスプレイ等出力 入力

その他
MOVERIO
(エプソン)
両眼(レンズ投影、960×540)
音声端子
コントローラー部
マイク
OS: Android
コントローラー部と有線接続
¥69,980(税込BT-200)
ホームページ
M100
(ビュージックス)
単眼(眼鏡に装着、428×240)
スピーカー
ヘッドトラッキング
コンパス、GPS
ボタン
OS: Android
¥129,600(税込)
ホームページ
SmartEyeglass
(ソニー)
両眼(緑単色、419×138)
スピーカー
コントローラー部
加速度、ジャイロ、電子コンパス、照度、マイク
OS: Android
コントローラー部と有線
ニュースリリース
東芝グラス
(東芝)
単眼(レンズ投影) microUSB  ディスプレイ
有線
2015年発売?
AiRScouter WD-200S(仮)
(ブラザー)
単眼(1,280×720) HDMI
コントロールボックス
ディスプレイ
ヘッドバンド方式
ニュースリリース

先の3製品がOS搭載の所謂スマート・グラス、後の2製品がメガネ型ディスプレイです。

動画

次にyoutubeより、各製品の動画を紹介します。

MOVERIO

エプソンからコンセプト動画です。ホームシアターのユースケースが示されていますが、Oculusのような没入型では無いにしても、ほぼプライベートな場所で座っての利用になりそうです。

イヤホンが別の線なのは如何でしょう?眼鏡のツルから耳孔にアクセスできたら、スマートだったと思うのですが。(デザイナはそういうデザインも用意したことでしょう。)

Oculus互換の、Windowsの画面が転送できるアプリを作れば、別のターゲットにも売れるかも。

M100

M100のユースケースとして、SAP Japanの動画です。

こちらは「Google Playには接続できません。」とのことですので、業務用途ですね。

あるいはプロトタイピングの環境として使えそうです。

SmartEyeglass

構内ナビゲーションのデモです。(Google Glassのコンセプト動画にもあったような。)

単色の割り切りには好感が持てます。

両眼であったり、センサーが沢山ついていたり、(デザインがウルトラセブンだったり、)しますが、ターゲットがいまいち見えません。

東芝グラス

東芝はディスプレイとして割り切っています。ターゲットは業務用途でしょう。

AiRScouter

スカウター型HMDとしては先行しているブラザーさんの最新モデルです。ヘッドバンド方式がユニークですが、先行企業の知恵でしょうか。医療用途も考えている故、解像度が高いです。

Microsoft HoloLens

最後に、2015年1月21日にニュースになったマイクロソフトのメガネ型ガジェットです。

公式サイトのトップにコンセプト動画があります。

これを見ると半没入の「環境AR」といったイメージです。自動的に環境をマーキングするんでしょうかね。(屋外で使うものではなさそうな。)

2015年2月4日追記:Top 5 Smart Glasses 2014

「Top 5 Smart Glasses 2014」なる動画を見つけました。面白かったので追記します。(投稿者はゲーム用ガジェットのTop 5動画を投稿していたりします。)

第5位のGlass Upくらいの普通のメガネ感だったらいいですね。(ウルトラセブンより。)

第1位のatheer labsのコンセプト動画は、マイクロソフトのHolo Lensに似ています。(子供が付けているのは、ちょっと抵抗感が…。)

尚、何れの品も、製品化の度合いは不明です。(コンセプト動画っぽい。)

体験記

ITpro EXPO 2014のNTTドコモさんのブースで、Google GlassとエプソンのMOVERIOを体験することができました。

MOVERIO

最初にMOVERIOから体験しました。

「視点が合わない。。。」

両眼なので、正面に像が2つ見えます。昔はやった3Dアートのように、意識して交差法をする必要がありました。(もしかしたら調整ができるかもしれませんが、展示会ではしかたないですね。)

Google Glass

つぎにGoogle Glassです。

「焦点が合わない。。。」

単眼なので像を合わせる必要は無いのですが、焦点が合わず、最初はぼやけて見えます。

また、結構右上を見る必要がありますね。歩きながらは、スマホ同様、危なそうです。(広島にて観光に利用するという実証実験のなかで、同様のコメントがありました。)

・・・このように、私とメガネ型ガジェットとの相性は悪いようです。歳のせいでしょうか。(´・ω・`)

総評

昨年度に比べると、ターゲットが明確になってきたと思います。要は業務用途。

(昨年度はこちらを参照:「ウェアラブル・ガジェット(CEATEC JAPAN 2013レポート)」。)

眼鏡利用者は?

眼鏡利用者は、眼鏡と併用できるデバイスを選択する必要があります。

MOVERIOは眼鏡を固定するためのフックが付属しているようです。M100やAiRScouterは干渉しなければ何とかなりそうですね。

東芝グラスは投影に特殊レンズが必要そうなので、会社で作業用の眼鏡を作る必要がありそうです。

業務用途

以前も書きましたが、スカウター型HMDの利用は2000年代前半にボーイング社にて機体整備に利用されていました。作業中にも、膨大なマニュアルを参照する必要があるからです。

先に挙げたような動画を見ると、さらに「ハンズフリー」「オペレータとの通信」という機能も提案されています。工場等の社内であれば、ジェスチャ入力・音声入力も恥ずかしくありません。

パーソナル用途

エプソンのMOVERIOはパーソナル用として訴求しています。半透過ながらホームシアターも可能です。タブレットやスマホでも、動画を見ている人は多いですから、この提案はよいと思います。しかし没入型とはどう住み分けるのでしょうかね。エプソンさんも出していると思いますが。

パーソナルを狙っていたと思われるGoogle Glassは、2015年1月19日に販売が終了しました。単独プロジェクトに移行するらしいですが、どうなることやら。

パーソナルのターゲットはどこに?

Google Glassの販売中止より、各ネットメディアでは、「パーソナル・ユースの出口が見えなかった」旨が言われています。

またメガネ型ガジェットの入力として提案されている、音声入力やジェスチャ入力は、パブリックな場所ではやりにくいですよね。

ソニーのSmartEyeglassは、コンシューマ向けのような気がします。しかし現状のニュースなどでは、ターゲットが不明です。(「スマホの子機」にはしないで欲しいところ。)

パーソナル・ユースのターゲットはどこにいるのでしょうか?

キラーアプリは何になるのでしょうか?

考察

以上を踏まえて、(メガネ型のみならず)ウェアラブル・ガジェットについて独断と偏見で考察します。

スマート・グラスは必要か?

私は、メガネ型ガジェットはディスプレイで良いと思っています。処理はスマホですれば良いのですから。(本稿では、モバイル・デバイスを「スマホ」と表現します。電話機能がないとしても。)

スマホからの映像情報のデコード、眼鏡側のセンサー情報のエンコードのみ行えば良いので、Android等の高級なOSは要りません。カスタムチップでできればそれで良いでしょう。

東芝グラスのイメージです。あるいはMOVERIOやSmartEyeglassのコントローラー部がそのままスマホのイメージです。

しかし有線よりは無線がよいですね。バッテリーの持続時間が課題でしょうか。

ターゲットについて

当初のユースケースが航空機の整備であったことから、眼鏡に限らずウェアラブル・ガジェットのターゲットは「立ち仕事で多量の情報を必要としている人」というのが私の主張です。

業務用途でのターゲットとして既に挙げられている人々、医師、技術サポート、大規模な工場・倉庫の作業者、プロ・スポーツの監督、警察、軍隊、これらはこの概念に当てはまります。

この概念を考えると、その他にも、大規模ショッピングセンターの作業者(棚割り、在庫管理、店頭への補給)、図書館の司書、フィールド・ワークする学者、はたまた握手会をするアイドルがターゲットとして考えられます。

さらには、立ち仕事の人(農業・漁業・醸造業の人、理容師・美容師など)が、「情報をリアルタイムで参照できたら強みになるか」を考えると良いかもしれません。

ブレストすれば沢山出てきそうです。

潜在ターゲットとしての主婦

「立ち仕事で多量の情報を必要としている人」で、私が最もマスが大きいと思っているのが「主婦層」です。(主夫も含みます。)

掃除洗濯をしながら、育児・教育、スーパーの安売り情報(広告)、レシピ(クックパッド)、天気(洗濯指数)、生活の小技、行政、趣味はたまた芸能情報と、多量の情報を必要とします。

職場が自宅であれば、音声入力も恥ずかしくありません。ハンズフリーは必要ですね。

メガネ型が適当か?

私とメガネ型ガジェットとの相性が悪いためでもないのですが、ターゲットによっては、メガネ型より、音声情報のみの「イヤホン・ヘッドセット型ガジェット」がよいのではないかと、私は考えています。

主婦層や潜在ユーザーがまず必要とする情報は、音声で十分です。(「イヤホン・ヘッドセット型ガジェット」については別稿にて考察します。)

メガネ型であるならば、「ユーザーに取って視覚情報にどれくらい価値があるか?」「じゃまにならないか?」を、もっと考える必要がありそうです。

まとめ

2014年度のメガネ型ガジェット(スマート・グラス及びメガネ型ディスプレイ)を俯瞰しました。

Google Glassから始まったブームですが、日本の各社は、最初のターゲットを業務ユーザーに絞った感があります。

モバイル、そしてパーソナル・ユースとしてのメガネ型ガジェットについては、もう少し「ターゲットは誰か?」「ターゲットにとっての価値は何か?」を考える必要がありそうです。

まず、パブリックな場所で音声入力やジェスチャをしなくても済むように、開発者の方々にはお願いします。

(メガネ型の入力については、私は「噛み合わせ入力」が良いと思っています。参照:「ウェアラブル・ガジェット(CEATEC JAPAN 2013レポート)」)

次回は、時計型ガジェットの提案をしたいと思います。

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