技術者のための教育関係書籍

はじめに

かけ算の順序の問題について」を書いた際に、昔読んだ教育関係の書籍を思い出しました。

いままで私が読んだ教育関係の書籍で、心に残っているものを紹介します。

技術者でも技術教育の講師をしたり、セミナーでプレゼンしたりすることもあると思います。教育関係の分野は専門外と思われるかもしれませんが、読んでいるといろいろな場面で役に立ちます。

(当初は前稿の末尾に「おまけ」として付していたのですが、別稿に分けました。)

技術者のための教育関係書籍

「教師の仕事 365日の法則―見て学ぶイラスト版」

  • 向山 洋一・前田 康裕,明治図書出版,1998

私が読んだ当時、向山洋一さんは校長先生をやっていて、本屋の教育コーナーには「向山洋一シリーズ」が並んでいました。そのシリーズの本(「算数」「跳び箱」)も読みましたが、一番最初に読んだ向山さんの本だけ紹介します。(マンガもあって楽しいですし。)

「教師の法則」は、人と関わる全ての仕事にも当てはまります。なんせ子供は大人のアーキタイプですから。とくに「趣意説明の原則」は今でも心に止めており、これまでのブログ記事にも心がけています。(クドかったかも知れません。^^;)

この先生が行った「教育の法則化運動」は教育界では賛否あったようです。しかし改善のためのプロセス定義や、他の会社のベストプラクティスを導入して成否の理由を考えるのは技術者にとってはあたりまえのことです。(そうでない技術者もいます。)ですので、私にとってその趣意は腑に落ちました。

「教育のTQC運動」のようなネーミングにしたら語弊が少なかったかもしれません。^^;

「社内教育システム開発方法論―教育のプロフェッショナルを目指して」

  • 君島浩,日科技連出版(実践ソフトウェア開発工学シリーズ),1993

君島さんはもともと富士通でソフトウェア技術教育をしていて、私が上の本を読んだとき(2003年頃)は「防衛庁海上幕僚監部・教育専門官」でした。

君島さんの情報から「インストラクショナル・デザイン」という言葉を知ったのですが、いままでのところ深堀りしていません。

この本は読んだ当時も古い情報かと思ったのですが、要点は2点です。現場を観察すること、ツールを活用すること。(パワポ以外に工夫の余地はありそうですね。)

残念ながら近著はないようです。

「授業をどうする!―カリフォルニア大学バークレー校の授業改善のためのアイデア集」

  • B.G. Davis・R. Wilson・L. Wood,東海大学出版会,2002

カルフォルニア大学バークレー校の人気講師のテクニックが紹介されている、コンパクトで読みやすい本です。上の2冊は図書館になければ入手困難でしょうが、この本はまだ購入できる可能性があります。

上の2冊とは違い、この本のテクニックは、教育というより、プレゼンやセミナーに使えると思いました。

また巻末に東海大学のミニッツ・ペーパー(授業アンケート)を活用した事例があります。これまた測定と改善を心がける技術者には腑に落ちます。

おわりに

こららの本を読んだり、体験から思うことは、「教育の設計は階段の設計」ということです。(プレゼンも同様。)

「蹴上がり」(階段の垂直な部分)が高すぎると、ついてこれない人が出てきますし、低いと理解が早い人にはダルい。「踏みしろ」(階段の水平の部分)が狭いと、分かりにくくつまらないし、広すぎるとこれまたダルい。

また決められた時間内に設定されたレベルに到達するためにも、「蹴上がり」と「踏みしろ」の量と数を適切にする必要があります。

階段との違いは、「蹴上がり」と「踏みしろ」が一様ではありません。緩急もあります。

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